日本の工芸品に宿る、SDGsの精神。いま新たな活用をされていたり、進化を遂げていたりする工芸品とともに、日本の伝統文化、そして工芸品の魅力について考えてみよう。
〝持続可能性〞を秘めた未来に受け継ぎたい伝統。
長いものだと1000年以上は続いているという日本の伝統的工芸品。「実はSDGsと深いつながりがある」と、〈日本工芸〉の松澤斉之さんは言います。
「伝統的工芸品とは、古くから受け継がれた方法で、主に手作業で一定の地域の職人さんが製造する品。地元の素材を使う、ものを大切に長く使うといった考え方は日本に古くからあり、SDGsの多くの目標を体現しています。例えば大部分の工程が手作業であること。
電気などのエネルギー消費はわずかで、手間ひまのかかる作業ゆえに余分な生産はできません。高品質で長期間使えるのは魅力ですし、壊れた場合は直して使い続けることが良しとされているため、とてもサステナブルなんです」
現在、経済産業大臣が指定する伝統的工芸品は全国に240品目。SDGsの目標達成のためにも、工芸品は残していきたい。
「安くて便利なものが消費者に重要視されている時代ですが、大量生産・消費の仕組みには限界があります。