神奈川県三浦市で蔵書室〈本と屯〉を営む〈アタシ社〉は、地域の情報発信や地元商店街の店づくりに精力的に取り組む。その姿から、住みたい場所を自分たちでつくりだすこれからの地方創生の形を知る。
三崎港近くの商店街にある蔵書室〈本と屯〉はユニークな店だ。店に並ぶ約5,000冊の本はすべて〈アタシ社〉のミネシンゴさん夫婦の蔵書(友人たちから寄贈されたものもある)で、店を訪れた人が自由に読める。地元のおじいちゃんがコーヒーを飲みながら世間話をする隣で小学生が漫画を読む。観光客が訪れ、ランチのおすすめを尋ねることもある。とても自由なコミュニティスペースだ。
「この場所に根をおろすなら何か街のためになることをしたいとはじめたこと。
本職である出版の仕事をしながらどういう広がりを生み出せるか。今は商店街のシャッターをできるだけ開けることができたらいいなと考えています」

歴史ある船具店を改装した〈本と屯〉。出版社〈アタシ社〉のメンバーとの打ち合わせもここで。
昨年、商店街に雑貨屋をオープン。今年は古着屋も開店した。地方や東京からの若い移住者が店長を務める。ほかにも新しい三崎のお土産を作ったり、三崎の観光案内や移住情報を紹介するウェブサイトや出版物を作ったりと、新たな働く場所や観光資源を次々と発想し、実現させている。