2030年までに実現したい持続可能な開発目標(SDGs)を掲げ、世界中で取り組みがなされているものの事態は好転しない。そうなれば気になるのはもっと先の未来のこと。もしこのまま2050年を迎えたら、世界は、日本は、どうなっているのだろう。気象科学者の江守正多さんに「たとえば」の世界について教えてもらった。
「このままCO2の排出量を抑えることができず地球温暖化が進めば日本の気候にもさまざまな影響が出てきます。極端な猛暑、これまでにない大雨や強力な台風など異常気象が深刻化し、自分たちの生活を直撃するような気候危機を受けるリスクが高まっていくと考えられます」
その予兆はすでに今の私たちも感じているのではないだろうか。桜の開花時期は昔より早まり、夏の過酷な暑さ、強力な台風は日本各地にさまざまな被害をもたらしている。
「2019年に千葉県を中心に大停電を起こした台風15号と多摩川流域が氾濫した19号がありました。
19号は実は荒川も溢れる寸前だったんです。氾濫が起きたら広範囲の浸水被害に加え、15号同様の停電または交通、通信インフラなどの被害が発生し、大混乱になっていたかもしれない。問題はこういった危機が50年に一度、100年に一度の異常気象ではなく常に起こる可能性が年々増していくということです」