『小説家の映画』の公開を記念し、墨田区菊川の映画館Strangerにて、ホン・サンス監督特集上映が開催される。ホン・サンスと言えば、1990年代から映画を世に送り出し、カンヌ映画祭やベルリン映画祭の常連で、今回、日本で上映となる『小説家の映画』も第72回 ベルリン国際映画祭(2022年)の審査員大賞(銀熊賞)に輝いている。
韓国の名匠ホン・サンス
彼の作品の特徴としてあげられるのが、カメラのズームインとズームアウトを使った映像である。このズームイン、ズームアウトを見て、これはどのようなことを意味しているのだろうかと、観客もじっと考えることとなる。
ホン・サンスの映画というのは、どのような感想を持っていいのか、戸惑うようなところもある。『小説家の映画』に寄せられた著名人のコメントを見ても、これは同じ映画のことを語っているのだろうか?と思えるほど、皆の見ている部分が違っている。ある人は前向きな物語と捉え、ある人は女性たちの連帯の物語と捉える。また別のある人は、作家として試されているような畏怖の念を抱く。
ただ、そのどれも間違っていないとも思えるのだ。
今回の特集上映では、そんなホン・サンスの最初期・転換期・現在期の代表作から9作品が上映される。