新潟県新潟市の市街地から車で約30分。日本海の海岸地帯にワイナリーが連なり、それぞれの造りを貫きながら産地の個性を形成している。日本産プレミアムワインの産地「新潟ワインコースト」にある〈フェルミエ〉を、ワインバー&ビストロ〈uguisu〉と〈organ〉でオーナーシェフを務める紺野真さんと、紺野さんの一番弟子的存在で〈サプライ〉のオーナーソムリエールである小林希美さんが訪ねた。
新潟のテロワールを世界に伝える、砂地のアルバリーニョ
ワイン産地、新潟。ワイナリーの数や生産量では、長野や北海道に及ばないが、際立った特徴がいくつかある。その一つが、周遊・滞在が可能な5軒のワイナリーが連なる「新潟ワインコースト」があること。もう一つが、〈フェルミエ〉の本多孝さんが造るアルバリーニョがあることだ。
「クリーンで緻密で、ナチュラル。
品種とテロワールの個性が詰まったワインだと思います」
と、紺野真さん。本多さんとの出会いは5年前、新潟市内のワインバーでポップアップイベントを開いたとき。元銀行マンの本多さんは39歳で脱サラして故郷・新潟でワインメーカーの道を歩み始めた。老舗ワイナリー〈カーブドッチ〉でワイン造りやワイナリー経営を学び、同ワイナリーが栽培に着手したアルバリーニョの畑を譲り受け、2006年に〈フェルミエ〉を設立した。