
日記文学の面白さは、なんといっても作家の日常生活を覗き見し、同じ時間を過ごしたように感じられるところ。何時に起きて、何を食べて、誰と会って、何を話したか、一人になった時に何を考えたのか。詳細であればあるほど面白い。また、読み進めるうちに何度も登場する人がいたり、意気投合したり、意見が合わなかったりという関係性や思考の変化がじわじわとわかるのもいい。これを機会にいろんな日記を読み比べてみませんか?
1.『エレンの日記』 著・エレン・フライス、訳・林 央子
「本を開いたあとは、少し違う自分になったと感じていたい。私なのだけれど、今までとは違う私になって、世界を新しい目で眺めたいのだ。」
1990年代、ファッションとカルチャーに絶大な影響を与えた雑誌『Purple』の編集長が2001〜2005年に綴ったエッセイ38編と彼女が撮影した150点以上の写真を収録した一冊。世界中を旅し、映画や文学に親しみ、才能あふれるアーティストたちと交流を深めた彼女の思想が浮かび上がる。(アダチプレス/2,400円)
2.『お直しとか カルストゥラ』 著・横尾香央留、写真・ホンマタカシ
「手すりにまたしてもステキなものが!黄緑のフキンを開くと白地に赤の格子の紙皿にころんと4つのパンが並んでいる。
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