
日本には日々の喧騒から離れて静かに心を取り戻す場所が守られている。敷地内を心地よい風が抜け、鳥の声が聞こえる神社やお寺だ。昔の人もそっと自分をかえりみたり、大事な人の健康を願った。私たちも時間に余裕ができたら大自然に抱かれた社寺へも、参拝を目的に訪れてみてはどうだろう。緊張した日々を過ごしたこの一年、2022年への希望と共に新たなる一歩を踏み出すために。今回は、京都〈貴船神社〉を訪れました。
京の奥座敷で水神を祀り、氣の生ずる根源の地。

朱塗りの春日灯篭が連なる本宮の南参道はいかにも貴船神社らしい眺め。木々の緑と朱のコントラストが美しい。毎年11月には「貴船もみじ灯篭」が開催され、夜間にライトアップされている。
市街から1時間ほどの京都の奥座敷・貴船。鎮座する貴船神社(きふねじんじゃ)の歴史は古く、神武天皇の母・玉依姫命(たまよりひめのみこと)が黄色い船に乗り大阪から川を遡り、清水の湧き出る地を見つけ祠(ほこら)を建てたことに始まるとされる。現在の奥宮がその場であり、地中に龍穴を持つ本殿にひときわ神聖な気が漂うのは、そんな理由がある。
かつて“きふね”は氣生根と書き、氣の生ずる根源の地として、御神気に触れることで気が満ちるとされてきた。
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