くらし情報『一瞬で、つかむ/寿木けい 第11回 ひんぴんさんになりたくて。』

2023年3月29日 14:18

一瞬で、つかむ/寿木けい 第11回 ひんぴんさんになりたくて。

一瞬で、つかむ/寿木けい 第11回 ひんぴんさんになりたくて。


本誌巻頭エッセイ、寿木けいさんの「ひんぴんさんになりたくて」。ひんぴんさんとは、「文質彬彬(ぶんしつひんぴん)」=教養や美しさなどの外側と、飾らない本質が見事に調和した、その人のありのままを指す​、​という言葉から、寿木さんが生み出した人物像。日々の生活の中で、彼女が出逢った、ひんぴんさんたちの物語。

山梨に越してから、茶道をはじめた。
初めて稽古にうかがったのは、ちょうど一年前のこと。ぶどう畑を吹き抜けて朝の風が、庭の葉を揺らし、いくつの影が畳のうえをゆらゆらと舞っていた。お金では買えないものはたくさんあるが、この環境もそのひとつだと強く打たれた。
通いはじめて少し経った頃、甲州市の名利・恵林寺で、親子を対象にした別の教室も開かれていることを知り、子どもと一緒にお世話になることにした。

歳の近い友達もできるし、おいしいお菓子もあるからと、子どもを釣ってのことだったが、一番は、小学生にもわかるように噛み砕いて教えてくださる講義を、親である私が聞きたいと思ったからだった。そのくらい、茶道に関してはまるっきりの浅学だったのだ。
以来月に二度、十組ほどの親子でお寺に集い、お宝の御軸や道具を間近で見ながら、わいわいやっている。

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