豊かな漁場に囲まれ、温暖な気候を誇る宮古島では今、島産食材を生かしたレストランもひしめいている。島出身のシェフ・渡真利泰洋さんの案内で美食の旅へ。
Navigator渡真利泰洋
とまり・やすひろ/1984年宮古島生まれ。東京やパリの名店でフレンチの修業を積んだ後、31歳で伊良部島〈エタデスプリ〉総料理長に。現在は独立し、新店開業に向け準備中。
島ならではの新鮮な素材と〝カオス〟な文化が融合する。
「小さな島にもかかわらず、クオリティが高く最先端の料理を提供する店がいくつも揃っている。食の面でも宮古島は稀有な場所です」
そう話す渡真利泰洋さんは、伊良部島のレストラン〈エタデスプリ〉で、イノベーティブな沖縄料理「琉球ガストロノミー」を提案してきた、諸島を代表するシェフの一人だ。
「強みは、中心部が食材の産地から近いこと。山がなく小さな島なので、魚であれ野菜であれ新鮮なまま運んで料理ができるんです。近年では、島の海産物を生かしたお店を開業する県外からの移住者も増えています」
立ち並ぶ店はフレンチからイタリアン、メキシカン、中東や多国籍料理まで、実に多彩なジャンルを誇る。
「琉球諸島は、琉球王国が450年間育んだアジア色の強い文化を基本に、日本本土やアメリカの影響も受け、混沌とした文化を育んできました。