
秋川リサ撮影/吉岡竜紀
「10代のころ、この年になるなんて想像しなかったわよ。でも、なってみたらどうってことないわね。というか人間としてもっと立派になると思っていたら全然ダメ(笑)」
昔と変わらぬ笑顔でこう語るのは秋川リサ(65)。1960年代後半から1970年代前半にかけて、帝人や資生堂の専属モデルとしてCMに登場し、当時はテレビで顔を見ない日はなかったほどだ。
そんな彼女の人生は昭和27年、東京・笹塚でスタートを切った。日本人の母とアメリカ人の父との間に生まれた、いわゆる“ハーフ”だったが、両親は正式に結婚していなかった。なぜかというと、父親は当時、日本に駐留していたアメリカ軍の技術者で、秋川が生まれる前に日本を去っていたから。生まれる前から波瀾万丈(はらんばんじょう)だったのだ。
「いじめは当たり前のようにありましたよ。まだ“ハーフ”なんて気のきいた言葉はなくて、“混血”と言われるのはまだいいほう。“合いの子”ですからね」
そんな状況の中で、くじけずにいられたのは祖母のおかげだった。
「祖母は私が小さいころから“日本人は単一民族だという誇りがあるから、血が混ざった子どもが生まれれば差別や区別されるのは当たり前。
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