クロカンにつながる持久力のベースアップを図った。さらに身体の使い方、筋肉の動かし方も根本から見直そうとヨガやピラティス、TRX(ファンクショナルトレーニング)などにもチャレンジ。細かい部分までメンテナンスをして、より大きなパワーを出せるように仕向けてきた。
「僕は“変わることへの好奇心”がすごく旺盛なんで、ホントにいろんな練習に手を出しました。身体能力の数値自体はそんなに変わっていないけど、自分の持てる力をより効果的に使えるようになった。意図しているわけじゃないけど、五輪前の2年間は毎回いいサイクルできている。今回も2017年2月のW杯札幌大会、3月のオスロ大会の個人ラージヒルで優勝し、その間に行われたフィンランド・ラハティでの世界選手権の同種目で銀メダルをとれた。それは自分にとってすごくいいことですね」と平昌を1年後に控えた2017年春、彼は目を輝かせた。
迎えた2017年夏。渡部は勝負の半年間をどう過ごすべきか思いを巡らせていた。北野建設には横川朝治監督と荻原健司部長、全日本にも河野コーチといった指導者はいるが、トレーニングの流れとメニューを自ら考え、実践するのが渡部流。自らアクションを起こせる選手こそが強い。
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