を創刊したのが高橋俊宏編集長。以前は、「日本でも北欧スタイルで暮らします」という、真逆のテーマを掲げた雑誌『北欧スタイル』を作っていたという。
「日本の魅力に目を向けた雑誌を立ち上げようと思ったきっかけは、北欧デザイン界の巨匠、ハンス・J・ウェグナー氏のお宅を取材していたときのことです。彼の奥さんにね、怒られたんですよ。“こんなところまで何しに来たんだ。あんたの国には、いいものがたくさんあるじゃないか!”って(笑)」
壁に飾られた蓑、棚に並ぶ焼き物、天井からぶら下がるぼんぼり。あらためて見渡すと、巨匠の家の中は日本のモノでいっぱいだった。
「なんて馬鹿なことをやっているんだろうと思いました。日本に北欧の暮らしを取り入れようとしたら、お手本にする相手は、日本のモノを暮らしに取り入れている。だったら僕が作るべきなのは、自分の国の本なんじゃないかと」
創刊当初は、北欧の大型家具店やファストファッションが次々と日本に上陸しており、安価でスタイリッシュな海外製品の全盛期。日本の伝統工芸を謳った器や道具は“一級品”というイメージに甘んじていた面もあり、積極的に扱うのは、一部のセレクトショップに限られていた。
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