くらし情報『松本人志「食うの遅いヤツ絶対に売れない」を聞いて元芸人が思ったこと』

松本人志「食うの遅いヤツ絶対に売れない」を聞いて元芸人が思ったこと

2018年2月19日 16:00
 

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松本人志「食うの遅いヤツ絶対に売れない」を聞いて元芸人が思ったこと
豚丼を食す千原ジュニア
受験シーズン真っ只中、東京では4年ぶりとなる大雪に見舞われた。受験生はそんな悪天候にもめげず、勉強に精を出していることだろう。

そんな彼らがどうしても気にしてしまうのが、ジンクスではないだろうか。

新幹線を使って移動する受験生たちにとっての「富士山を見ると不合格になる」というものから「受験校の校門の前に五円玉を置くと合格する」「青いものを身につけると受かる」まで、最近では良い意味でも悪い意味でもさまざまなジンクスが存在するようだ。

■芸人のなかで言われているジンクス

かつて私がいたお笑い業界にも、多くのジンクスがある。

以前ある番組で、ダウンタウン松本人志さんが「食べるのが遅い芸人は、絶対売れない」と話していたが、これもそのうちのひとつだろう。

吉本興業の芸人たちのあいだには、“ご飯は先輩がご馳走するもの”という暗黙の了解がある。そのため、ご馳走してくれた先輩に自分が食べ終わるまで待ってもらうのは当然ながら、御法度だ。後輩は先輩よりも先に食べ終わるのがマナーなのである。

早く食べ終われば、次の店の手配もできるし、お会計の準備もできる。食べるのが早いということは、それだけ周りへの配慮ができているということにつながり、結果的に“空気が読める”という評価も得られる。

それができる芸人は先輩から可愛がられ、食事に呼ばれる回数が増えるばかりではなく、誕生日会や旅行など、プライベートなお付き合いが増えていくことになるだろう。

過去、私が松本さんの食事会に呼ばれた際に『すべらない話』のプロデューサーさんが同席していたことがあった。そこでもしハネていたら、番組に出演するという千載一遇のチャンスを掴むこともあり得たわけだ……。

ゆえに「食べるのが遅い芸人」はそういう機会が与えられなくなり、売れるステージから徐々に遠ざかる。松本さんが言っていた話は、たしかに的を射ているのかもしれない。

そういえば以前、レイザーラモンRGさんとレギュラーの松本さんが、あるイベントの打ち上げに遅れて来たことがあったが、着くやいなや、食べ物を流し込むように口に入れていたのを目の当たりにして驚いたことがある。

おそろしい食欲だと思っていたが、あれは普段から早く食べる習慣が身についているからこそのことなのだろう。しかしその一方で、早く食べるという点にも注意が必要である。あまりにも先輩より早く食べてしまった場合、逆に急かせているような空気になってしまうからだ。

■そんな私の失敗談

さて、そんな私も現役時代は先輩方からよくご馳走になっていたが、特に若手のころは多くの失敗をしてきた。

吉本新喜劇大山英雄さんというベテラン芸人に、初めてご飯に連れて行ってもらったときの話である。大山さんといえば、東京の吉本新喜劇では重鎮にあたり、福山雅治さんのモノマネをする芸風でも有名だ。

ツアーの帰りに立ち寄ったお店で、彼が頼んだのはカレーライス。それに対して、私はカレーうどん。これが明暗を分けた。メニューが先に到着したのは、カレーライスだった。

カレーうどんは、まずうどんを茹でなければならないため、時間がかかってしまうのだ!

そんなことも知らなかった私を前に、大山さんはカレーが来るやいなやペロリと口に入れ始めた。大山さんも大山さんで、食べるのが早い。余程お腹が空いていたのか、初めて誘った後輩に興味を示さず無心に食べているではないか。

対する私は、遅れを取り戻すためにスタートダッシュを切り、アッツアツのカレーうどんを喉に流し込んだ。ひたすら熱い麺と汁をすすり続ける私とは対照的に、向かいに座っている大山さんはすでに食べ終わり、爪楊枝を口に。

なんなら、もう会計しようという仕草をし始めている。こんなに味のしないカレーうどんも初めてで、最終的には味どころか、もはや熱さも感じなくなっていたのだが、二人の間に流れる空気の冷たさだけは感じることに。

やっとの思いで食べ終わり、「美味しかったです。ご馳走さまでした」とお礼を言うと「メシは先輩より早く食い終わらなあかんで」と一蹴。それ以来、ご飯には誘われなくなってしまった……。

大切なのは、早く食べることではない。早く食べられるものを頼むことなのだ。そのうえで時間をコントロールできれば最高だ。

もし皆さんが、少しでも他人に差をつけたいのなら、時間をコントロールしながら美味しく食べる技術を身につけるべきなのだろう。

◎元吉本新喜劇所属。芸人、役者時代の人脈を活かし、体当たり取材をモットーに既成概念にとらわれない、新しいジャーナリスト像を目指して日々飛び回る。

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