くらし情報『不況にも負ケズ、老朽化にも負ケズ、ニーズに合わせた「がんばるデパート最前線」』

不況にも負ケズ、老朽化にも負ケズ、ニーズに合わせた「がんばるデパート最前線」

2018年5月17日 16:00
 

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不況にも負ケズ、老朽化にも負ケズ、ニーズに合わせた「がんばるデパート最前線」
日本初のターミナルデパート『阪急うめだ本店』。1日50万人を超える乗降客が利用する阪急梅田駅に隣接する
今年3月21日、JR松戸駅西口のデパート『伊勢丹松戸店』(千葉県松戸市)が閉店した。国内の伊勢丹としては八王子、高崎、熊本、小倉、吉祥寺に続く閉店となる。

■地方デパートが続々と消えていく

松戸店の売り上げは、ピークの1997年3月期の336億円から、昨年3月期は181億円まで落ち込み、運営する三越伊勢丹ホールディングスが撤退を決定。こうして開業から43年11か月、人口約50万人の松戸市内で唯一のデパートが姿を消した。

2月28日には、同県船橋市の『西武船橋店』も半世紀の歴史に幕を下ろした。遡れば昨年6月に『丸栄』(愛知県名古屋市)、10月には『十字屋山形店』(山形県山形市)も閉店するなど、老舗が姿を消している。

東京・大阪以外の地方都市でデパートが相次いで閉店に追い込まれているのだ。消費の低迷、ネット通販の影響に加え、デパート自身の魅力低下も大きな要因とされている。

「最大の理由は建物の老朽化です。’13 年に改正された耐震改修促進法で耐震診断されて、改修の必要があると言われたデパートが決断を迫られた結果、体力がなく閉店を選択しています」

そう語るのは、消費社会をめぐる問題に詳しい立教大学の貞包英之准教授だ。

「都市部のデパートは『GINZA SIX』に象徴されるように、テナントを誘致して生き残りを図るしかなくなってきたんです」

■まさかの起死回生モデルも

しかし一方で、新たな現象も起きている。経済ジャーナリストの磯山友幸さんが、興奮冷めやらぬ表情で話してくれた。

「驚いたのは、『高島屋』の大阪店。’18年2月決算の店舗別売り上げが1414億円となり、系列トップだった東京・日本橋店に100億円近い差をつけて“1番店”になりました。66年ぶりに返り咲いたんです」

理由は明白だった。外国人観光客、いわゆる“インバウンド”の影響である。

日本百貨店協会が発表する全国百貨店売上高をみると、昨年1年間でデパート全体に占めるインバウンド客(免税売上高)は、4・8%。ところが、高島屋・大阪店は17%だった。

「外国人スタッフを大量に採用し、中国語、韓国語、英語のパンフレットや関西国際空港までの時刻表を配布したりして、ギリギリまで買い物ができることをアピールしています」(磯山さん、以下同)
ほかの百貨店や、道頓堀や心斎橋の商店街なども、外国人であふれる人気スポットに。大阪観光局によると、’17 年の来阪外国人旅行客は1100万人。日本全体では2869万人だから、なんと3人に1人が大阪を訪ねた計算になる。

「大きな理由は、間違いなくLCC(格安航空会社)便の増加です。関空にLCC専用のターミナルができて発着数が大幅に増えた。大阪ミナミの難波駅から空港まで約40分ですからね。

大阪は東京などに比べるとビジネスホテルも安い。買い物もしやすいし、圧倒的にリピーターが多くなったことも理由でしょう」

このインバウンド効果がなかったら日本のデパートはマイナスのままだった、と磯山さんは断言する。

「今後、外国人観光客は4000万人になるだろうと予想されます。五輪後もそれは続くでしょう。そうしたニーズに地方都市のデパートも対応するときが来ています」

転換が迫られるいま、苦境にあえぐ地方や老舗のデパートは、どんな取り組みを行っているのか?

まずは、話題の催事で集客アップをはかる、大阪『阪急うめだ本店』の挑戦に迫る。

■目指すは世界水準

前述したとおり、関西国際空港を利用して来日する外国人観光客の増加により、デパートのインバウンド売り上げはとりわけ大阪で好調だ。

関西を代表する老舗『阪急百貨店うめだ本店』も爆買いが話題となった2015年以降、化粧品など免税品の売り上げが上昇。現在は全体売り上げの10%以上を占めるように。

販売促進部の山元秀行さんは、「外国人の方への売り上げは16か月連続で増えていて、今後も需要は高まると思います。

そのため“世界水準のデスティネーションストア”、つまり、世界中の人が阪急うめだ本店を目的に来日するような売り場づくりを目指しています」と言う。

それに先駆けて、’12 年に建て替え工事を終え、グランドオープンした。

「コンセプトは“暮らしの劇場”。全売り場面積8万平方メートルのうちの20%を販売ではなく情報発信やイベントスペースとして使い、商品価値を紹介していこうという考えです」(山元さん)

その象徴が、9階の『祝祭広場』。ここは12階までの4フロア吹き抜けという、とても開放的な空間となっていて、1~2週間ごとにさまざまな催しを開催している。

なかでも人気なのが、今年で51回目を迎える英国フェアをはじめとした“海外フェア”だ。マーケティング1部の桑原渉さんによると、海外催事を成功させる秘訣は、単なる“物産展”にとどまらないことだと話す。

「すでに日本にある店舗を集めるのではなく、日本初上陸のお店など、現地から職人など何十人も人を呼び、作り手のこだわりや思いをダイレクトにお伝えする。

それによって、新たなものの価値を知っていただいたり、現地の雰囲気を肌で感じていただくことが大切だと考えています」

イベント期間中は各フロアでも関連した催しを行うことで、全館でその国の雰囲気を演出している。まず、9階でイベントを楽しみ、下のフロアで婦人服や化粧品などを購入してもらう狙いだ。この海外フェアを含め、全館で年間5000回のイベント開催が目標だという。

■若いママ向けの企画にも意欲的

また、百貨店離れが指摘されている20~30代の若いママをターゲットに情報を発信、他社と差別化を図っている。

11階のベビー・子ども服売り場では、妊娠中や子育ての悩みを解決する『子育てライブスクール』を1日に数回、無料で開催。抱っこひもやベビーカーの選び方・使い方など、初心者ママに向けた内容で、出産や育児に不安を持つ母親の気持ちに寄り添う。

さらに、人気雑誌のモデルを起用したり、“うめはんママ”と呼ばれる一般公募から選ばれた母親たちの売り場体験ブログなどを通じて、百貨店を身近に感じてもらう試みも。そうした努力により’14 年からは、子ども服売り場の売り上げが前年より10%ずつ上昇しているという。

加えて今年3月には売り場を大幅にリニューアル。話題性の高い国内外のブランドを集めた売り場づくりが好評だ。

「リニューアル後もお客様に飽きられることなく、売り上げは伸び続けています。今後も顧客の需要に対応するだけでなく、欲望を刺激していくことで足を運んでもらえる仕掛けをつくっていけたらと思います」(前出・山元さん)

《取材・文/小泉カツミ藤森優香

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