2019年9月25日 20:00
「誰でも来て」の子ども食堂、ガーナ人店主が未来につなぐ“親切の連鎖”
朝ごはんを食べていない子や、孤食の子も増えている。日本の子どもたちは、アフリカの子どもたちとは違った生きづらさを抱えていることを知って、心が痛みました」
2015年の暮れのことだ。東京で子どものための食堂があると知り、自分も何か始めようと思った。
「私が日本に来て仕事もなくて困っていたときに救ってくれた人がいて、日本が好きになったの。だから、少しでも日本に恩返ししたい。とにかく、まず、子どもたちにお腹いっぱいごはんを食べてもらおうと思ったんですね」
トニーさんから話を聞いた妻の順子さん(36)は、「え、本当にやるの?」と思わず口にしたそうだ。
「私は典型的日本人なので、準備してから走りたいタイプ。でも、主人は真逆で、考えるより動く。
失敗してもやり直せばいいと、どんどん行動するので、想像しただけでもついていくのは大変だろうなと。1回は反対しましたが、やると決めたらやる人なので」
■アフリカの文化を日本へ
場所は神奈川県相模原市で自らが経営する店を使うことにし、名前は『ノヴィーニェこども食堂』にした。ノヴィーニェとはトニーさんが属するエウェ族の言葉で、家族や仲間を意味する。
トニーさんの脳裏に浮かんだのは、生まれ育ったアフリカでの食事風景だ。
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