2019年9月28日 13:00
日雇いの街で歌って踊る詩人が「表現」を通じて目指した、壁のない世界

詩人、NPO法人『こえとことばとこころの部屋』代表上田假奈代さん
戦後の大阪で、道路や橋、ライフラインを整備し、ビル建設を担った日雇い労働者たち。その多くは地方から出稼ぎに来て、釜ヶ崎を拠点とした。だが、近代化に成功した後、バブル崩壊、リーマン・ショックと不況が続き、仕事は激減。
釜ヶ崎の高齢化が進む今、表現活動を通して「生きることの本質」への肉薄を試みる詩人がいる。日本最大の日雇い労働者の街、大阪・釜ヶ崎。その街とそこで暮らす人たちの魅力に惹かれ、ともに生きる上田假奈代さんの半生に迫る。
■どんな背景を持つ人でも受け入れる街
大阪市西成区に、地元の人から「釜ヶ崎」と呼ばれる地域がある。日本最大の日雇い労働者の街だ。「釜ヶ崎」という地名は1922年の合併により消滅し、地図上にその名を見つけることはできない。
家族を持たずに年老いたかつての労働者、生活保護を受けている人、ハンディキャップがある人、病気で働けなくなった人、住んでいた土地からはじき出されてしまった人─さまざまな背景を持つ人たちがここで暮らしている。
街の実情を知らず、「気性の荒い労働者や路上生活者がいる街」というイメージから、「怖いとこやから行ったらあかん」
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