くらし情報『実話がモチーフの小説『ひと喰い介護』、判断力・体力・財産を奪われた老人の末路は』

2019年11月9日 16:00

実話がモチーフの小説『ひと喰い介護』、判断力・体力・財産を奪われた老人の末路は

私は小説家、それならばフィクションで、私自身が書くしかないと思ったんです」

安田さんのこの苦い経験が珠玉の一冊を生んだのだった。

■もしサイコパスが介護事業者だったら

物語はエンディングを予想させながら、テンポよく進み、ページをめくる手を止めさせない。介護施設の罠におちていく武田の変化は痛々しく、それに呼応するように輝きを増すのが、主人公のひとり、介護施設のチーフ・新海房子だ。

「房子はいわゆるサイコパス。サイコパスが介護事業者だったら、という視点から、彼女を描きました」

人の心を読むことがうまく、聞き上手。誰にでも共感するそぶりを見せながら何も感じてはいない。特に人の痛みにはまったくシンパシーを覚えないのが房子だ。

「彼女の目的は誰にもわからない。お金でも、愛情でもなく、ただ人を痛めつけたい、そこが彼女の常人には理解できない怖いところです」

房子は巧妙に罠を張り巡らし、周りを懐柔しながら、狙った獲物を追いつめていく。前述した介護施設のカリスマ経営者・高坂万平をはじめ、登場人物のほとんどが、彼女のコマとなって動かされてしまう。

専業主婦を経て、ヘルパーのトップとなる日垣美苗と富永怜子も、そのコマたちだ。

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