2020年3月10日 16:00
大相撲“無観客”場所で再認、神秘的な横綱土俵入りと大地を鎮める力士の底力

無観客の中、全幕内力士も参加した初日の協会ごあいさつ相撲協会公式YouTubeより
大相撲春場所の無観客開催が始まった初日の8日、さっそく朝8時40分の開始から見た。
正直、無観客場所には期待はしていなかった。大相撲はスポーツであり興行であり神事である。そのひとつでも欠けたらバランスが崩れて成立しないんじゃないか?と思い、半信半疑の気持ちで見始めた。ところが、大いに感動し、涙まで流して見入ってしまったのだ。
■神秘的な横綱土俵入り
無観客場所はいつもどおりに拍子木が打たれ、審判の親方たちが入場し、序ノ口の取組から素っ気なく始まった。考えたらピラミッド社会の大相撲、いちばん下の序ノ口、次の序二段、その上の三段目あたりまで、普段から観客は少ない。開始すぐの序ノ口のころなんて、観客はいつもだいたい30~40人いるかいないかくらいだ。
それでも8日、カメラが会場全体を映すと、本当に誰もいない。閑散たるさまは異様で、同時に不思議な感覚にもなる。時空を超えた異世界で開かれている相撲……なる妄想が浮かぶ。観客が入ることを想定した升席、椅子席には、私たちには見えない誰かが座っていそうな気までしてきた。
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