2020年10月11日 13:00
暴力団を追い続けて30年のライター、ヤクザに拉致・襲撃されても取材を続ける理由

フリーライター鈴木智彦さん撮影/伊藤和幸
暴力団相手に体当たりの取材を重ねて約30年。監禁や襲撃などを経験してもなお、裏社会に斬り込み、誰もが忌避する世界のトビラを開け続けてきた。銃で撃たれたあの日から、「暴力」を追い続ける男を突き動かしてきたものとは──。
■魚を食べたら密漁の共犯?
今年もサンマが高い。それでも、醤油(しょうゆ)を垂らした大根といただく脂の乗ったサンマは、この季節には欠かせない旬(しゅん)の味覚だ。しかし、誰もが口にする魚がヤクザの密漁で捕獲されたものだとしたら──?
暴力団による海産物の密漁や密流通が横行している。つまり、知らず知らずのうちに私たちは密漁品を食べ、暴力団の資金源を支えているかもしれないのだ。そんな食品業界のタブーを暴いたのは、ライターの鈴木智彦さん(54)。
「日本の漁業をちょっと取材すれば、密漁や産地偽装問題が噴出しますよ。漁業関係者にとっては周知の事実でも、今までその詳細が報道されることはなかった。誰も足を踏み入れてない“秘境”だったんです」
ヤクザ専門誌を経て、フリーの立場でおよそ30年、暴力団を追い、関連記事を寄稿し続けてきた鈴木さんにとって、“密漁ビジネス”の取材はまるで「アドベンチャーツアー」
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