2020年11月14日 18:00
松本人志も絶賛の漫談家ぴろき、コロナ禍で“大損害”を被っても寄席にこだわるワケ
「“どうしてウクレレだったんですか”と聞いてもらえます?」
言われたとおりに尋ねると、まじめな表情になってたっぷりと間をとる。
「そこにウクレレがあったから……」
この見事なはずしっぷり。ここに、ぴろきの真骨頂がある。
「実はね、ウクレレって僕が最初に触った楽器だったんですよ。これは本当。戦後、日本にハワイアンブームがあったらしくて、そのときオヤジが買ったんでしょうね。家にウクレレがあったんです。母親はピアニストを目指したこともあるみたいで、家でピアノを弾いていましたが、僕が先に触ったのはウクレレ。ウクレレを相棒にしようと思ったとき、そういえばと思い出したんです」
ウクレレには少なからぬ縁があったのだろう。今に至るまで30数挺(ちょう)のウクレレを買ったが、現在は特注のものを3挺、使い回している。美しい木目に貝殻が埋め込まれた、なんとも粋なウクレレである。それをぴろきは愛(いと)おしそうに奏でる。
「ただね、当時ウクレレ漫談といえば、大御所(牧伸二さん)がいましたからね。ですから僕はずっとギタレレ(ミニギター)で舞台に立っていたんです。大御所が亡くなって数年たって、やっとウクレレを使い始めました。
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