2020年11月14日 16:00
ひきこもり当事者“コロナ禍”の明暗、リアルな居場所が消え「がちこもり」になる不安も
というプレッシャーが彼らにはつきまとうが、「ステイホーム」が求められ、逆に少し肩の荷を下ろしているのではないか。
以前、取材をさせてもらった人たちに、現状をどう感じているか聞いてみた。
「世間の価値観が一変したことを感じる」と話してくれた人が何人かいたのは、興味深かった。これまでひきこもっていることで非難を浴びてきたのに、今度は国が「ひきこもってほしい」と要請しているのだ。ただし、私が予想したように、「家にいることが推奨されて、胸のつかえが下りた」というわけではないようだった。
■「家にいる」を無条件に肯定する社会
「家にいることが珍しくなくなったのは、私にとっていい作用かもしれません」
そんな返事をくれたのは、「働きたいけど働けない」と以前、話してくれた40代の二条淳也さんだ。30歳くらいまではアルバイトを転々としていたが、人間関係がうまくいかず、心身ともに痛めつけられた。ひきこもってからは親の仕送りで生活を続けている。
「初めて行く美容院で『お仕事は何をされているんですか』と聞かれ、『家でいろいろ』と言うと、『こういうご時世ですもんね』と。コロナの影響で、今は誰に対しても『家で』と言えばすんでしまう。
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