強盗か?レイプ魔か?それとも─。玄関ドアから響く激しい金属音が、岩井さんの恐怖心を煽り続けた。
「通報後は、5分とかからず3人の警察官が駆けつけてくれました。おそるおそる扉を開けると、見知らぬ男がうなだれるように座っていました。すぐに警察官に連行されていきましたが、かなり酔っ払っていたのだと思います……」
後日、岩井さんが警察から聞いた話では、「男は上の階の住人でした。酔って自宅と間違えたようで警察からは“本人も反省している”と伝えられましたが、本人から直接の謝罪の言葉すらありません」
警察は「事件性はない」と判断した。
「その日以来、深夜にひとり自宅にいるのが怖くてしかたないんです。ひょっとしたらストーカーだったんじゃないか、など悪い考えも襲ってきて眠れなくなりました」
一時は睡眠導入剤を処方してもらっていた岩井さんは、いまだショックから立ち直れていない。
岩井さんのケースは「微罪」や「軽犯罪」と呼ばれるものだ。ほかにも駅構内で女性ばかりを狙い次々と体当たりしていく「ぶつかり男」や公衆トイレなどでの盗撮などが社会問題化している。
殺人事件などの凶悪事件とは違い、命に別状はないし、お金を盗まれているわけでもない。
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