くらし情報『家族4人を亡くした「父と息子の10年」、行方不明の母も一緒に眠るお墓から見えるもの』

2021年3月5日 05:00

家族4人を亡くした「父と息子の10年」、行方不明の母も一緒に眠るお墓から見えるもの

家族4人を亡くした「父と息子の10年」、行方不明の母も一緒に眠るお墓から見えるもの
墓所から町を望む千葉父子。雄貴さんが手がけた仕事も見える(撮影/廣瀬靖士)
墓所は復興途上の街並みを見渡せる高台にあった。岩手県大槌町の水産関連会社に勤務する千葉孝幸さん(55)と長男・雄貴さん(21)は、慣れた足取りで家族が眠るお墓の前に立ち、静かに手を合わせた。

孝幸さんの妻・峰子さん(当時32)は行方不明のまま。二男・一世くん(同1歳5か月)、父・兼司さん(同75)、母・チヤさん(同73)は遺体で見つかった。自宅にいた4人で車に乗って避難中、津波に襲われたとみられる。

孝幸さんは言う。

「震災から10年、こうしてふたりとも生きているってことが幸せなのかなと思う。生きたくても生きられなかった人が大勢いるんだもん」

賑やかな6人家族は、あの日を境に父子ふたり暮らしとなった。翌年、底冷えのする真冬の夜の仮設住宅で初めて取材させてもらった。まだ小学6年生だった雄貴さんは大人びていて「どうぞ」と缶コーヒーを差し出してくれ、孝幸さんは、あの日のことや生前の家族について話すたびに泣いた。質問した私は申し訳ない気持ちでいっぱいになった。

今年も孝幸さんは同じことを言った。

「雄貴には食べ物でも何でも、できるだけ震災前と同じような環境にしてあげたくて」

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
instagram
instagram
twitter
twitter
YouTube
YouTube
上へ戻る

Copyright © 1997-2021 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.