ますます壮絶な話だ。
漫画家として活動し始めたのは、2年ほど前から。そして、家を出るまでの自分の半生を振り返れるには脱出から6~7年はかかったという。
「(漫画の)担当編集者さんが、打ち合わせの際に話した私の半生に、ものすごくびっくりして。“それを漫画にしませんか”と言われて、それまではちょっと違うくらいだった認識が、やっぱりおかしかったんだと確信しました。
子どものころからそんな状況で暮らしてきたのと、母親があまりほかの友達と遊ばせてくれなかったこともあって、ほかの家の様子を知らなかったんですよ。だから“○○ちゃんの家には○○があっていいな”といった、ほかと比べての不満は持ったことはなくて。でも“うちはエアコンが壊れていて使えないから寒くていやだな”とか“机がまともに使えないから、布団やゴミの上でものを書くのは書きづらいからいやだな”という不快な感情に対する不満はありました」
片づけはできず、常にだらしない。かつ支配的な母親に対しての不満はなかったのだろうか。
「母は、断続的ではありましたが、会社勤めをしていたんですね。洋服は買い漁(あさ)っていたくらいで、いつも同じものを着て出勤していたわけでもなかった。
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