「名優としての地位を確立したのは、’81年に始まったフジテレビ系のドラマ『北の国から』の黒板五郎役でしょう。大御所脚本家である倉本聰さんの代表作で、北海道の富良野で息子の純と娘の蛍という2人の子どもを男手ひとつで育てながら暮らす寡黙な男です。大自然の中での生活は楽ではありませんが、不器用ながら懸命に生きる姿が共感を呼びました。心に深い傷を負いながらもがき続け、ときに親子関係が危機に陥ることも。温厚な性格と頑固な意地をあわせ持つ複雑な性格の男を演じ、まさにハマり役でした」(同・映画ライター)
’00年以降は次第に出演が減り、’10年に役所広司と佐藤浩市らと共演した映画『最後の忠臣蔵』の後は、俳優としての活動はしていない─。’13年には週刊女性が“俳優引退”を報じた。
当時、映画会社スタッフは週刊女性にこう話していた。
「田中さんに出演のオファーをしたところ、“俺、もう引退したんだ”と言って断られたようです。さらに、“昔に比べると、セリフが覚えられないんだ。年だし、俺ができる役はもうないよ”と、寂しそうに理由を語っていたそう」
■晩年は妻が“引退暮らし”を隠し通すも……
その際に週刊女性は田中さんの自宅を訪ね、家の前でほうきを片手に掃除する姿をキャッチしたが、話を聞こうとすると田中さんの妻に遮られてしまった。
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