「特に新人に優しかったですね。ずっと褒めっぱなしですよ。スタッフが“この新人役者、大丈夫か?”と思うときでも“このシーンは君のためにあるんだよ”とか、うまいことを言う。人を操る術(すべ)がすごいんですよね」
’86年のデビュー作『彼のオートバイ、彼女の島』から大林さんにお世話になったという竹内力は、さすがに監督の前では“コワモテ”にはなれなかったと明かす。
「俺はデビュー当時から“しかめっ面”だったから、大林監督には“君はタレ目なんだから、もっとかわいく笑って笑って”と言われて。監督がする表情をモノマネすることで、笑う演技を覚えました。でも、その後はやっぱり“しかめっ面”をする役が多くなったので、笑わなくてよくなっちゃったけど(笑)」
最初が大林監督だったので、その後は苦労することも。
「大林監督が優しかったから、こんなに楽しい世界なら食っていけると安心していたら、その後は変なヤツが多くてね(笑)。大林監督は撮影も変幻自在。台本からは想像もつかないような画を撮るので、撮影中は何を撮っているのかわからない。仕上がった映像を見て“エーッ!”ってビックリするような編集でした。お別れの会があるなら、思い出話に花を咲かせて、明るく“監督、見てる?”って言いたいね。
…