「急性リンパ性白血病は同種移植をしない場合、通常2年間治療することが多いのですが、池江さんの場合、年齢的に若いことと、いいドナーが見つかったため、早めの同種移植を行ったのかもしれません。ただ、臓器にできたがんのように切除して終わりというものではなく、治療は長丁場になるんです」
治療の副作用も重くのしかかる。
「通常、同種移植といった他人の造血幹細胞の移植を行うと、移植片対宿主病という免疫反応が出てしまい、内臓の機能が低下します。さらに副作用で筋力や免疫力も落ち、その状態が最短でも半年近く続きます」(明星医師)
治療後も油断はできない。
「一般的に、成人の急性リンパ性白血病の5年生存率は30~40%。治療を終えても元どおりの生活ができるとは限りません。寛解状態になっても再発する可能性も抱えています。そのため、治療後も最低5年間は経過を見ますので、彼女は今でも定期的に病院に通っていると思われます。そのような中でトレーニングを積んで大会に臨み、復帰を遂げたのですから奇跡の復活といえます」(明星医師)
アスリートには、この偉業はどう映ったのか。北京五輪の男子400メートルメドレーリレーの銅メダリストで、現在はスポーツ解説者を務める宮下純一さんはこう語る。
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