と、なんとパイソンの一枚革で大きなバッグをしつらえた。届いたバッグは見事なまでのヘビ革だったから、やっぱり落合さんが怖がってしまった。という理由で、私にその立派なバッグをプレゼントしてくれたの。今、私の自宅の居間に飾ってあるきれいな置き時計も、信子さんからいただいたもの。とてもきっぷがいい人よ。
落合さんが、ドラゴンズの監督に就任すると、信子さんは表舞台に登場しなくなった。黒子に徹するという覚悟だったんだと思う。私は、彼女が身体を張って、選手時代から野球だけに専念できる環境をつくっていた姿を見ていたから、内助の功に徹する姿に、とても感銘を受けた。私も邪魔をしたくなかったから、以来、お会いできていない。
野茂英雄さんが、「自分は“野球”が好きなんじゃなくて、“野球をするのが好き”だ」というすてきな発言をしていた。きっと落合さんも同じなんだと思う。再びユニフォームを着るということは、球団の上層部や玉石混交の関係者と、球場外でも関わることを意味する。さまざまな軋轢も生じるだろうから、信子さんは表に出ることを控えたのだと思う。
いちファンとして、やっぱりもう一度落合さんの監督姿を見てみたい。
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