放置された空き家では、手入れされなくなった庭木や雑草が道にせり出し近隣住民や車の往来などの迷惑になるだけでなく、ゴミの不法投棄や害虫の発生源に。空き巣など犯罪を誘発し周辺地域の治安を悪化させるおそれもある。空き家問題に詳しいNPO法人空家・空地管理センター代表理事の上田真一氏に聞いた。
「空き家は誰でも抱えうるリスクです。親が亡くなり自宅から離れた実家を相続することになったり、高齢者施設に入所する際に空き家化してしまうケースが多いので」
神田も、まさにそう。都内にある15坪ほどの土地に立つ一戸建て。1階から2階まで壁一面にツタが絡みつき、表札は当時のまま。錆びついた門扉の向こうには、落ち葉やゴミがたまっている─まさに空き家然とした建物だが、間違いなく神田の母・輝子さんが’01年12月に亡くなるまで住んでいた家。神田も学生時代、ここで生活していた。
「もともと正輝のおばあちゃんの家だったんです。正輝が高校生のころに輝子さんとこの家に住むようになって。高校、大学とこの家から通っていましたよ。雪が降ると家の前の坂道で一緒にスキーをしたもんです」(近所の住民)
別の住民も当時を振り返る。
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