
料理家の村上祥子さん撮影/廣瀬靖士
終わりの見えないコロナ禍。この2年間、誰もが自分や家族の健康を守ることに向き合ってきたのではないだろうか。
■ハッピーな人生の記憶を遺したい
「これほどまで、命について考えた日々はありませんでした。命は、身体の中にあるもの。“ちょうだい!”と言われても、誰にもあげることはできません。だからこそ、自分で身体のことを考えて、ちゃんと食べてほしいんです」
そう語るのは、料理家の村上祥子さん。シニアでもおひとりさまでも、好きなことを諦めないその生き方に注目が集まっている。
「ちゃんと、といっても、難しいことはしなくていいんですよ。私の人生には“~せねばならない”というルールはありません。できないことには目をつぶって、忘れていくぐらいでないと、人生100年時代は生きられませんから」
そう笑う村上さんが、80歳の節目を目前にして、「遺言」を冠したレシピ本を上梓した。
超高齢社会に突入した中、その先頭に立つようにキャリアを更新し続ける村上さん。今年もコロナ禍ながら5冊の本を著した。その締めくくりとなるのが、料理家人生50年の集大成ともいえる『村上祥子80歳遺言レシピ』だ。
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