
大坂環(たまき)さん
「当時の私たちには、本当に何もなかった。光が見えないトンネルの中にいるような感覚で、手探りで前に進もうにも、壁にはトゲトゲがあって触れると痛みを感じる。でも、とにかく前に進むしかなかったんですよね」
大坂なおみの母が明かした過去
トンネルの中にいた──。そう自らの過去を微笑しながら振り返るのは、大坂環(たまき)さん。テニスの4大大会(グランドスラム)のうち、全米オープン、全豪オープンを制したプロテニスプレーヤー・大坂なおみ選手(24)の母親だ。
今ではトッププレーヤーとして知られる大坂なおみ選手だが、成功までは紆余曲折の連続だった。その日々を、最も近くで見つめてきた環さん。冒頭の言葉にあるように、順風満帆とは程遠かったという4人家族で歩き始めた時代。夫であるマックス(本名レオナルド・フランソワ)さんと暮らすフロリダの自宅から、家族との向き合い方、そして“光”の見つけ方を語ってくれた。
「人生って本当にどうなるかわからない。もし、グランドスタッフとして空港で働いていたら、違う人と結婚して、違う人生を歩んでいたんだろうなって」
優しく微笑みながら、空港内で働く地上職のスタッフ(グランドスタッフ)
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