流れ星の大きさは、いつも見ているから知っているわけですよ。それよりもずっと大きいもので、当時は“隕石”なんて知らなかった。不思議に思いながら火球が飛んでいくのを目で追っていたら、金縛りになったんです。
それから、昼間が怖くてたまらなくなった。日中は、身体が震えてね。そのくらい、ショックだったんだと思います。いままでガキ大将で走り回っていたのに、夜しか動けなくなった。日が暮れると母親に気づかれないよう、そっと家を出て、お月さまの輝きに吸い込まれそうになりながら歩くんです。そのときは、怖さなんてなくて、むしろ安心するんです」
月明かりの中、山道を歩きながら隕石を見たときのことを思い出した。故郷を追放され、地球ではない惑星から来た宇宙人が、人間の身体の中に入り込み、人である苦しみを味わうことで自らの罪を贖う、そんな想像を膨らませながら。
「モノを書いたり、詩をつくったりするようになったのは、この経験が原点。もうひとつ、夜、山道を歩いていたことで、夜目がきくようになった」
隕石を見たのは、夏休みに入ったばかりだったこともあり、休みが終わるころには“昼間の恐怖”を克服できていたそう。
「夜目がきくようになって、夜行性になりました。
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