くらし情報『寺越友枝さん「息子を守るためにオルガン、サバ缶も北朝鮮へ…」』

2018年8月26日 11:00

寺越友枝さん「息子を守るためにオルガン、サバ缶も北朝鮮へ…」

その1カ月後やった。武志と一緒に行方不明になった叔父から寺越家の次女の元に、『北朝鮮で生きとる』という手紙が届いた。次女から、『武志は生きとったぞ』という電話を受けたあとのことは、気が動転してよう覚えとらん。あわてて実家の母に電話をしたら、『頭がおかしゅうなったか。明日行くからしっかりせい!』と言われたことだけは覚えとる」

武志さんらが北朝鮮で生きていたことは日本で大きく報じられた。

「なんとか訪朝させてくれ、と代議士の先生にお願いして、その年の8月、夫と私が行けることになった。渡航費はどうしようかと思うとったら、『これで武志になんか買ってやれ』言うて、実家の母が、100万円をくれたんや。向こうに着いても、観光に連れ回されるばかりでいっこうに会えん。
やっぱり、武志が生きとるなんてウソや、と思い始めた3日目。通訳の人が、やっと武志と叔父を、平壌のホテルに連れてきてくれた。通された部屋に入ったら、男性が2人立っとった。1人は、武志と一緒に行方不明になった外雄やとすぐわかった。けど、武志には昔の面影がない。記憶の中の武志は、くりくり坊主のままやった。『武志か!』と呼んだら、うなずいとるが、実感がわかん。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.