2018年10月1日 11:00
福島原発「汚染水を海に放出」経産省説明会に地元漁師の怒り
タンクが増え続けると廃炉作業に差し障る」
経産省の担当者は公聴会で、トリチウム水の処分を急ぐ理由をそう説明した。東電や原子力規制委員会(以下、規制委員会)を取材するジャーナリストの木野龍逸氏は、放出を急ぐ背景を次のように語る。
「東電や経産省、それに本来は原発の安全性を厳しく審査する、規制委員会の意向です。規制委員会の田中俊一前委員長は、早い段階から、『薄めて海に流せば問題ない』と発言していたし、東電も12年には、『永遠に溜め続けることはできない』と会見で言っていました」
そもそも、処分を急ぐ必要はないという専門家も少なくない。
原子力発電所の設計に携わってきた技術者の後藤政志氏は「石油備蓄用の10万立方メートル級の大型タンクに入れ替えれば100年は保管できる。その間に、放射能の影響も少なくなる」と提唱し続けている。
ではなぜ、海洋放出を急ぐのか。
「五輪招致で、安倍首相が『汚染水の影響はコントロールされている』と発言した手前、東京五輪前に処理の目処をつけようという経産官僚の忖度が働いている」
こう分析する元・経産官僚の古賀茂明氏は、規制委員会の問題も指摘する。
「環境省の外局である規制委員会の職員の大半は、原発を推進する側の経産省からの出向者です。