2019年2月14日 11:00
犯罪や非行に走った少年少女120人以上を癒した「更生カレー」
と呼ばれている。年に数回開かれるカレー会には、関わってきた子どもだけでなく、友人や家族も一緒に集まってくる。
「ふと気がついたら、120人の子どもたちだけでなく、そのご家族ともご縁ができていた。やがて、結婚した、子どもができたと、新しい家族との関係も始まっていく。この関係はずっと続くわけです」
6時をすぎて三々五々、中澤さんの“子どもたち”がやってきた。ほかほかと湯気の立つカレーを前に、3歳の男の子を膝に乗せたパパが感慨深げにこう言った。
「僕はかつてお世話になった1期生です。親子2代で、このカレーを食べることになるなんて、当時は想像もしませんでした」
その後も次々に“子どもたち”やその家族がやってきて、カレー会は夜10時まで続いた――。
「保護司になりませんか」
中澤さんに、そう声がかかったのは’98年。57歳のとき。33歳で一弘さん(78)と結婚し、江東区辰巳の団地で専業主婦をしていた彼女は、「保護司という言葉も、そのときまで知りませんでした」と、笑う。保護司は法務省の非常勤の国家公務員。無給のボランティアだ。各地域の保護観察所の監察官から、「この保護対象者を受け持っていただけますか?」