くらし情報『宝来館女将 亡くなった従業員の分も「生きっぺし」W杯誘致へ』

2019年3月11日 11:00

宝来館女将 亡くなった従業員の分も「生きっぺし」W杯誘致へ

街はがれきがあふれていた。「とてもW杯どころじゃない」というのがラグビー関係者の共通認識だった。後日、釜石の復興をラグビーで支援する「スクラム釜石」が東京で立ち上がった。その第2回会合で、岩崎さんは熱い夢を語った。

「復興も大事ですが、私たちには夢が必要です。釜石でW杯をやりましょう。私たちはスポーツで夢をもらいたい。夢をください」

岩崎さんのこの一言が、大きな一押しになった。
震災のその年に、釜石有志による「釜石ラグビーW杯2019を語る会」が開かれ、W杯招致をしていくことが正式に決まったのだ。

最初は誰もが半信半疑だった。ラグビーのW杯なんて――。安全が確保されていない被災地に、選手やファンを呼ぶことを危惧する声も強かった。それでも岩崎さんは訴え続けた。

「津波が怖いから、何もやらないでは、何もできません。大地震を経験して、私たちにはどうすれば生き残れるかという知恵がある。津波は防ぐことはできない。
でも、避難場所を造って、津波が来る前に、てんでんこ(バラバラ)に逃げる。それを教えていくのが、震災で生かされた私らの役目です。いま、夢を語らねば、いつ語るんですか」

’15年3月2日、W杯を開催する12都市が発表された。

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