2019年4月25日 06:00
死刑確定から10年…林眞須美の長男、結婚を前に母へ思い巡らす
私は、やってないんだから」
実はかつて、真剣に結婚を考えたことがあったと、信一さんは記者に打ち明けた。
恋人には、林健治、眞須美の長男だと、正直に告げた。相手はすべてを了解して交際が始まったが、一つだけ条件があった。
「私の両親には、絶対にその事実を隠し通してほしい」
やがて結婚を約束するまで進んだとき、信一さんの心が次第に揺らぎ始めた。
「僕の両親は、交通事故で亡くなったことにして、交際を続けていました。相手の両親は家に行くたびに、ごちそうしてくれたり、セーターを編んでくれたり、よくしてくれて。このまま彼女の家族になじんで、うまくいってしまうのかな、と思ってみたりしました。……でも、会うたびに罪悪感を覚えた」
合理的な理由があれば、姓を変えられることも知っていた。
「林家から籍を抜き、知らない場所で新たな人生を考えましょう」
婚約者は、そう言ってくれた。
「彼女の気持ちはうれしかった。でも一方で、本当にそれで幸せなのかという悩みが常にあった。そんなとき、先方のご両親に、うちの墓について聞かれたのをきっかけに、『実は』と、すべてを打ち明けました」
すると、両親が言った。