くらし情報『死にたいと思ったときに幼い息子の姿を見て……(JINSEIのスパイス!第29回)』

2019年5月7日 17:00

死にたいと思ったときに幼い息子の姿を見て……(JINSEIのスパイス!第29回)

そんな状態で子どもを抱えて生きていくことができますか?頼れる人は1人もいませんでした。当時の僕には、周囲のみんなが面白がっているようにしか思えなかった。ところが2人きりになったパリのアパルトマンで、息子が涙を堪えている姿を見つけてしまうのです。僕よりももっと苦しんでいる子がいた。くまのぬいぐるみに顔を押し付けて、声を殺してすすり泣いている。ぬいぐるみは涙でびしょ濡れでした。僕はその時、思ったのです。この子のために生きよう、と。
これは自分が仕事ばかりしてきたせいに違いない。これからはこの子のためだけに人生を捧げようと思ったのです。45歳も年が離れているこの子のために生きることを余生の意味と誓いました。

それから6年の歳月が流れたのです。その間のことはご存知かもしれませんが、家族を立て直すために僕はありとあらゆることをやりました。自分を捨てて生きました。小学生だった子は今年高校生になります。彼はもう泣かない。
毎日笑顔です。元気な最高の笑顔を浮かべます。実は、人生これからなんですよ。人生100年時代と言われるこの時代、50代というのはちょうど折り返し地点です。僕は今年60歳になります。でも、幸せですよ。

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