2019年6月13日 11:00
「ちゃんと生きないと役はできない」希林さん遺した役者哲学
「“『お母さん、一緒に死のうか』と、私がつぶやく後ろで、ばあばが、童謡の『赤とんぼ』を歌う”という台本だったのに、気がついたら私も一緒に歌を口ずさんでいたんです」
出資者を募る詐欺の場面でも、希林さんのアドバイスが役立った。プライベートでは動物愛護の活動をしている浅田に対し、希林さんはこう語ったという。
「美代ちゃんは、動物愛護の話になると顔が変わるの。そこにフワッとした美代ちゃんはいないのよね。それを詐欺のシーンでやるといいわよ。真剣に訴えると人は耳を傾けるから」
そんなアドバイスが生まれるのも、ふだんから一緒に過ごすことが多かったから。浅田が暮らす現在の低層階のマンションも、不動産に詳しい希林さんが探してきたものだ。
「最初、購入する気はなかったんですが、ばあばが『60歳過ぎたら部屋も貸してもらえないわよ』って。
それで緑の樹木の見える景色のいい部屋に決めたんです。2人ともタワーマンションには興味がなかった。ばあばも、『大地に足をつけて、普通にちゃんと生きていることが大事。ちゃんと生きていないといろんな役はできない』っていつも言ってました」
浅田のマンションに希林さんは食材を持ってしょっちゅう訪れた。