2019年6月16日 11:00
“法話グランプリ”で優勝、聴衆の心掴んだ「落語法話」の中身
そんな今大会のグランプリを受賞した法話を紹介。
■「スズムシを見つめる少年が、命の尊さを教えてくれた」安達瑞樹さん
私は以前、ひとりで寺に住んでおりました。あるとき、隣のおばあさんが、「ひとりやったら、さびしいやろ」と、スズムシを30匹ほどくれたんです。
10月になったら、30匹いたスズムシが、1匹ずつ減ってきました。メスが産卵に備えて栄養をつけるために、オスを食べるからです。どこの世界も女性は強いんですな。
(一同爆笑)
途中からメスだけになりました。産卵が終わったメスを、また違うメスが食べるんです。
「死骸が転がってるけど、どうしたらええですか」
おばあさんに相談しました。
「うーん、そうやな。とりあえず、般若心経でも唱えとこか」
それで、唱えてあげました。
「翌年の八十八夜。5月2日になったら、明るいところに卵を出して表面にさっと水をまくと卵がかえるんや」
そうおばあさんに聞きまして、翌年の5月2日、水をかけました。1カ月半ほどしたら、白い小さいものがうじゃうじゃ……。ちょうど隣の小学生が遊びに来たんで、箱に分けて持って帰ってもらいました。「夏休みの自由研究を“スズムシの一生”にします」