くらし情報『端役人生70年!俳優・加藤茂雄さんと巨匠・黒澤明監督との絆』

端役人生70年!俳優・加藤茂雄さんと巨匠・黒澤明監督との絆

そして、加藤さんは決まって、笑顔を浮かべてこう答えた。

「食えるとか、食えないの問題じゃない。それに、やってるうち、どうにかなるよ」

実際、テレビのギャラも少しずつ上向き始めた。『太陽にほえろ!』『赤い衝撃』など、誰もが知るドラマにも顔を出すようになった。一方、勝手知ったる映画の仕事も途切れることなく続いた。

そして、あの巨匠も大部屋時代と変わらず彼を自作に呼び続けていた。とくに思い出深いのは、黒澤監督が最晩年に撮った2つの作品だ。加藤さんは遠くを見つめながら、こうつぶやいた。


「黒澤さん、とてもいい場面を用意して、使ってくれたんだよね」

’91年の『八月の狂詩曲』で加藤さんが絡んだのは、ハリウッド・スターのリチャード・ギアだ。

「僕が般若心経を上げていると、リチャード・ギアとパッと目が合うんだ。それで、僕は一瞬お経を止めて、2人は互いに挨拶を交わす、そういうカットだった」
同じ『八月の狂詩曲』でのこと。出番を待っていた加藤さんに若い助監督がまったく別のシーンで声をかけた。「加藤さん、ここで背を向けてカメラ前に座っててください」。セリフがないどころか、顔も映らない。

関連記事
新着くらしまとめ
もっと見る
記事配信社一覧
facebook
Facebook
Instagram
Instagram
X
X
YouTube
YouTube
漫画家・脚本家募集LPバナー 上へ戻る
エキサイトのおすすめサービス

Copyright © 1997-2024 Excite Japan Co., LTD. All Rights Reserved.