2019年8月16日 06:00
ジブリで学んだ“宮崎駿のリアル”『なつぞら』スタッフが明かす
リアルのなかにもうまい、下手があったんだ、と」
“ジブリのこころ”は、そんなふうに体験を通して、ゆっくりと舘野さんのなかに染み込んでいった。
30代になると、動画チェックだけでなく、「カット出し」も任された。複数の動画マンに、担当するカットを振り分ける仕事だ。舘野さんは効率よく仕事を回すために、スタッフの技術力を考慮して、適任者に振り分けた。
「それがうまくいっていないと、動画チェックの段階で、修正箇所が増えてしまうんです」
チェックした動画は仕上げに回り、そこで彩色をして、背景と一緒に撮影。編集、音響を入れると、アニメーションが完成する。動画チェックの仕事が遅れると、後に続く作業が滞る。
完璧主義の舘野さんは、ささいなミスも直したいが、時間は限られている。
そのうえ、動画スタッフのリーダー的な役割を担っていた彼女は、多方面からせっつかれ、いつもピリピリしがちだった。
「遅れると、最終的な部署の人に『動画のせいでスケジュールが遅れた』って言われたこともあって。原画の方の中にものんびり仕事をしている人がいるんですよね」
思い余って、その原画マンに注意すると、「生意気な女」「感じ悪い」