2019年8月22日 11:00
老老介護でも、子どもいなくても「家族信託」で資産を残す
【ケース2】夫婦に資産があっても、引き継ぐ子どもがいない
都内に住むB男さん(78)は、妻(80)と2人暮らしで、子どもがいない。B男さんが妻より先に死んだら、B男さんの財産は妻が相続するが、妻が死んだときの、その先の自分の財産の行く末について悩んでいた。
「B男さんは先祖代々受け継いできた土地で暮らしていました。B男さんが亡くなると、土地など財産は妻が相続しますが、妻が亡くなった後、妻側の親族に相続されて、土地が渡ってしまうのを避けたいと考えていました。B男さん自身の親族に相続してもらいたいと思い、妻に自分の死後、そうするよう遺言書を作成してもらっても、妻側の親族の意向によって、書き直される可能性もあります」
遺言書では、夫は妻が死んだ後の財産「二次相続」までは指示できないが、家族信託ならそれが可能になる。「預貯金と自宅の土地・建物を信託財産にして、B男さんが委託者で第1受益者、甥を受託者、妻が第2受益者の契約書を公証役場で作成しました。B男さんが元気なうちは、毎月信託した財産から生活費を受け取り、亡くなった後は、妻がB男さんに代わって受け取ることができます。家族信託なら、妻が亡くなった後に残った財産が甥に渡るよう、『二次相続』を指定することが可能なのです」