2019年8月25日 11:00
樹木希林さん人気なぜ続く?作品からみえる執着しない生き方
遺作「命みじかし、恋せよ乙女」でも“らしさ”は健在。彼女が画面に映るだけで、どこかホッとした気持ちになれるのが不思議です。
本作はアルコール依存症に苦しむドイツ人男性カールが、不思議な日本人女性ユウと出会うことで過去と向き合いながら「そのままの自分で良い」という価値観を受け入れていくストーリーです。
その中で摩訶不思議なできごとが起こる”独特のホラー感”のある映画なのですが、怖さや不思議さの中にも人と人との触れ合いや「受け入れる」といった人の変化がテーマとしてあります。それはまさに希林さんの生き方にも通ずるものがあり、優しさと合わせて考えさせられる作品になっています。
遺作のため少々お痩せになった姿ですが、彼女の“死に支度”の1つである本作はきっと多くの人の心に届くのだろうなと思うのでした。
超高齢化社会を向かえるにあたり、年齢が上がるほど人は「どう生きるか」について深く深く考えるようになります。長生きも、ただ富めることも、家族を持つことも正解ではないと知ってしまった。
そんな今、価値観をどう持ち、どう生ききるかは重要です。
だからこそ希林さんのような自分の道を見つけ、そして何事にも縛られずに最期を向かえる姿はキラキラと輝いて見えるのでしょう。