2019年9月6日 11:00
18年前脱北した日本人妻 斎藤博子さん「子供守る、飢えとの闘い」
戦後、在日朝鮮人は60万人以上いて、その多くが韓国出身だった。
北朝鮮政府は、朝鮮戦争で失った労働力を穴埋めするため、’59〜’84年にかけて、在日朝鮮人に対し帰還を奨励。「北朝鮮は地上の楽園だ」と喧伝し、帰国を促した。日本政府もこれを歓迎し、国会議員が党派を超えて後押しした。その結果、約9万人の在日朝鮮人が騙されて北朝鮮に渡ったのだ。そのなかには、斎藤さんのような日本人妻や、日本国籍を持つ子どもも約7,000人いたという。
しかし、彼女たちが北に渡ってから騙されたと気づいても、後の祭りだったーー。
’61年6月12日、新潟港から船に乗るため、斎藤さんは、夫の家族や親戚10人と、汽車で新潟へ。
当時、帰還船は月に2〜3回、新潟港から朝鮮半島北東部の清津港に出ていた。斎藤さんたち家族が乗った船には、1,100人以上が乗船していた。清津港が見えてきたころ、斎藤さんの不安は的中する。
「日本とまったく景色が違うんです。たくさんの人が出迎えているけれど、みんな顔色も悪いし、服装もみすぼらしくて」
1人の男の子が目に入った。
「上着は着ているけど、下は裸でした。