くらし情報『iPS細胞で網膜再生 世界初の手術叶えた日本のキュリー夫人』

2019年12月16日 11:00

iPS細胞で網膜再生 世界初の手術叶えた日本のキュリー夫人

そんな中、高橋さんはあることを閃いたという。自己複製などの機能を持つ“神経幹細胞”で、根本的な目の治療法のなかった目の難病を網膜移植手術で治せるのではないか、というものだ。早速勢い込んでラボのボスに話したが、荒唐無稽な夢物語だとして大笑いされたという。しかし、高橋さんは確信していた。

「運命的な出会いでした。たまたま夫が脳神経外科医で、たまたま脳の専門家ばかりの中に眼科医の私がいた。眼科医でこのことに気づいているのは、私しかいない。これって、おいしい話やない(笑)。
困っている患者さんも、臨床の現場でたくさん診てきた。よし、私がやるしかない!違う世界に飛び込めば、必ず何か発見があるんですね」

2年のアメリカ滞在を終えて帰国し、京都大学へ復職。

京大の同窓会に出席した時に、クラスメートで理研の笹井芳樹先生(故人)からES細胞(胚性幹細胞)の話を聞き、ビビッときたそうだ。

ES細胞は、ごく簡単に言えば、受精卵から作って様々な組織に分化できるという万能細胞。高橋さんと笹井さんらは共同研究を始め、世界で初めてES細胞から網膜細胞を作ることに成功。しかし、ES細胞は生命の元になる受精卵を使うために“倫理上の問題”があるという議論で、臨床に進む道は途絶えてしまう。

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