くらし情報『iPS細胞で網膜再生 世界初の手術叶えた日本のキュリー夫人』

2019年12月16日 11:00

iPS細胞で網膜再生 世界初の手術叶えた日本のキュリー夫人

そのまま京大にいたら教授として安定した研究生活が約束されていた。しかし、臨床の現場も離れたくなかった。そんな時、高橋さんは、神戸に研究も臨床も一流レベルでやれる施設があるのを知る。それが、異動を決意した理研だった。

「決め手は、患者さんとの約束ですね。『新しい治療をやります』と言ってましたから。単純なんです。約束は、守らなあかん」

その後、07年に山中伸弥教授(57)がiPS細胞の開発に成功したとの知らせが駆け巡り、高橋さんは山中教授にiPS細胞の提供を求めて直談判。
14年9月には、そのiPS細胞から作った網膜の細胞を加齢黄斑変性の70代女性へ移植する手術に世界で初めて成功させたのだ。

快挙は世界中に報道され、権威ある学術雑誌『ネイチャー』は、高橋さんを“brave scientist(勇敢なる科学者)”と称賛し、「今年の10人」に選定。しかし、高橋さんはその称号をあまり好かないと言う。

「勇敢というのが、まだ未知のiPS細胞を使って無謀な挑戦をしたように聞こえるでしょう。私は、決して無謀なことをしていません。あらゆるリスクを考えて臨みました」

診察室にはいつも患者さんがいた。

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