くらし情報『資産150億の72歳長女 お金があっても幸せじゃないと語る理由』

2020年2月17日 11:00

資産150億の72歳長女 お金があっても幸せじゃないと語る理由

認知症の伯母の徘徊に付き合いおしめを変え、頼み込まれて伯母の養女となり、矢野姓を名乗ることになった孝子さん。自分の時間を取れない日々が続いた。

そのころ父親も、目に見えて、体が弱ってきていた。

子供を産めなくなって、長らく息をひそめていた北村家の長女の矜持がここで再び、目を覚ます。

「矢野家の財産相続でもめたおかげで、私には、父の事業と財産を守るという大切な仕事があるという思いが一層、強くなりました」

父自身、両親の遺産を相続したときは、莫大な相続税が払えず、たくさんの土地を物納で支払った。そこで、孝子さんは何十億円もの借金をし、父の広大な土地に高層マンションを建てる決心をする。

「そうすれば、父に、もしものことがあっても、借金分だけ相続税は安くなる。最難関は父の説得でした。
父は借金も、高層マンションも大嫌いでしたから」

1年がかりで父を説得し、ノーズヴィレッジ壱番館、弐番館が完成したのも07年。最初の会社「北村」を設立して、父が代表取締役に就任。中津の高層マンション王への第一歩を踏み出した。

09年のクリスマスイブの朝、伯母のヘルパーから電話が入った。

「矢野の奥さまが今朝、ベッドから落ちて亡くなっていました……」

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