2020年4月10日 15:50
新型コロナ禍で暴かれた安倍政権「観光立国」のなれの果て
各国が中国からの入国制限に踏み切るなか、日本政府が入国制限を開始したのは2月1日になってから。それも、武漢市のある湖北省に限ったものです。遅きに失したと言わざるを得ません」(前出・政治部記者)
「観光立国」の夢が首相の判断を鈍らせたのか……。そもそも、この観光立国にもカラクリがあると指摘するのは、経済誌記者だ。
「世界経済の成長に伴い、各国の賃金も上がり続けてきました。特に、アジアの成長はすさまじく、中国はこの10年で最低賃金が倍以上になっている。一方、日本は世界経済の成長に取り残され、賃金はいっこうに上昇していません。つまり、相対的に日本は旅行しやすい“安い国”になったことで、外国人観光客が急増したのです。
一方、日本人の国内旅行者はこの10年で、5%以上減少しています」
かつて日本経済をけん引してきたのは強い内需だった。訪日外国人によるインバウンド消費は年々増え続けているとはいえ、日本の名目GDPに占める割合は2018年で0.8%程度。日本経済をけん引するほどの役割は果たしてはいない。
「安倍政権下で行われた2度の消費増税などで国内消費が伸び悩むなか、観光業や小売業などの外国人観光客依存は高まり、今回の新型コロナ禍で廃業・倒産が相次いでいます」