くらし情報『「戦争なくなれば映画いらない」大林宣彦さんの「反戦への思い」』

2020年4月23日 11:00

「戦争なくなれば映画いらない」大林宣彦さんの「反戦への思い」

への思い……。監督が本誌に残した、約9時間にも及ぶ“魂のメッセージ”に、もう一度触れてみようーー。

余命3カ月の宣言を受けてから、すでに2年以上が過ぎた’18年11月。がんと闘いながら映画を作っていたさなかの取材で、大林さんは自身が映画にこめるテーマについても教えてくれた。

「地球にとっては、戦争をやめられない人間こそが、がんそのものなんですよ。勝つためだけに国に殺され、たくさんの人々が不幸になる。僕は、たとえ餓死してでも“戦争は嫌だ!”と言う。子どものころに体験した、“戦争の理不尽さ”を後世に残したい。
その思いだけで、妻とともに映画を撮っているんです」

大林さんは50歳のとき、黒澤明監督の『夢』のメイキング映像を製作している。連日のように黒澤監督の近くにいる機会があったことをこう振り返った。

「ある日、黒澤監督が僕にこんなことを話し始めたんです。『大林くん、人間というのは本当に愚かなものだ。いまだに戦争をやめられない。けれども人間はなぜか映画というものを作った。映画には、必ず世界を平和に導く美しさと力があるんだ』と。僕はこの言葉を30年、ずっとかみ締めてきたんです。
そして今、時代はだんだんと変わってきて、僕たちのすぐ横にも戦争があるんじゃないか、そういう皮膚感覚を持つようになりました。

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